2015年3月11日水曜日

平成27年3月11日 桃始笑


4年前の今日、未曽有の震災が起こりました。そして未だに「春」は遠い印象があります。特に今日あたりは全国的に真冬逆戻りで、4年前の雪の降る東北の風景を思い出していました。
でも、人、社会、時が動き、いつか必ず「春」はやってくると信じています。

さて、そんな中、季節は移ろい、関西では、31日に始まった奈良東大寺二月堂の修二会(しゅにえ)の業もクライマックスを迎えます。明日12日が最終日。これが終われば、やっとやっと春到来です。
修二会といえば、大松明をかついだ僧が二月堂を走り回り、飛び散る火の粉を浴びることで一年の無病息災を願うというのが有名ですが、最終日の「お水取り」という厳かな行事もあります。
言い伝えとしては、昔々…魚を採っていて二月堂への参集に遅れた若狭の国の明神様が、二月堂のほとりに清水を涌き出させて観音様に奉ったという由来。
今もこの「お水取り」というのは、二月堂の中にある井戸の水をくみ上げ、「お香水」とし毎年甕に追い足していかれるそうです。
そのお水は若狭から京の都の地下深くを通り、奈良二月堂まで何年もかけて流れてきたお水とされています。古代ロマンって、ほんとほっこりしますね。

また、今月6日が二十四節気「啓蟄」(けいちつ)でそろそろ「虫」が動き出す陽気となりますよという日で、今日11日は七十二候「桃始笑 桃が咲き始める」という日。
ちょうど、「お水取り」や20日前後の「お彼岸」と重なり、「春」を思わせる時季が続きます。
古代の神々も、日本人も、お隣の国の方々も、「春」が待ち遠しくて仕方なかったんでしょうね。

 七十二候の「桃始笑」の「笑」という漢字は、「咲く」という意味で使われています。他の七十二候にもこの使い方はあるのですが、今も花が咲いている様子をたとえて、「花が笑っている」という表現を使いますよね。
古来より今も同じように、自然の永遠さや誇らしさのようなものを感じます。
ただ、時に「恐怖」を与えるものに豹変するのですが…。

桃は、この時季になると梅の次に文字通り桃色の可愛い花を咲かせます。
先日のお雛祭りは「桃の節句」というように、旧暦33日(ただ、今年は桜も終わる421日とちょっと遅い!?)の旧お雛祭りあたりまでは、桃から桜へとピンク色の花を楽しめそうです。
漢字の桃にある「兆」は、数字の単位でもありますが、「二つに割れる、裂け目」という意味があります。二つに割れているように見える実がなる木というところから、名がついたとも言われています。

「桃」の「兆」という漢字には「兆し(きざし)」という意味があります。
良いことが起こる時季と思い、体も心も暖かい春の兆しを感じたいものですね。


私の仕事である、昨年末から作り始めた来年「申歳」のカレンダーもほぼ出来上がってきました。心が和むホッとする時期でもあります。まだ半年以上も先に世に出る「暦・カレンダー」ですが、大切に作っていきたいと思います。